2024.11.11 長持調査の報告
『歌舞伎舞台背景襖絵』~襖絵には何が描かれているのか?~
舞台奥から出てきた長持二挺に襖のようなものがしまってあり、そこに絵が描いてある様子であったため、歌舞伎舞台背景襖絵と推察し、二川本陣資料館の鶴田さん、多米民俗資料館の元室長の大竹さん、古物商の鈴木さん、裏山文庫の山崎さん等に立会いいただき、調査を行いました。
湿気と埃で襖同士が張り付いた状態であったり、虫やネズミの被害でボロボロになっていたので、取り出せるか心配でしたが、状態の良さそうなところから2枚同時にそっと取り出し、表面の絵が剥がれないよう慎重にひらいてみたところ、思った以上にしっかりとした鶴の絵と掛軸のような絵が現れ、参加者から「お~」と声が出ました。


舞台奥の壁に、襖の桟のような溝のある横木が上下に取り付けられており、サイズを測ったところぴったりなことから、おそらくそこに今回出てきた襖(舞台用語で書き割り)をはめていたのだろうと推測。横の長さから、おそらく6枚で一つの大きな絵になるとのこと。
引き続き、状態の良い書き割りを出していくと同じ鶴の絵が何枚も出てきたため、本殿に運び順番をそろえてみることにした。推測通り6枚で一つの絵が完成する。

鶴田先生の話によると、「名のある絵師に描いてもらった」というような物ではなく、村の上手な人が描いたか、看板屋さんに頼んで描いてもらったのではないか、とのことでした。
この絵以外にも、「お城」「障子」「仏間」「町の風景」等50枚ほどの書き割りが出てきたが、かなりボロボロで、中には絵具同士がくっついてしまい、はがせない物もありました。

鶴田先生は、どちらかというと下貼りの方が気になるようで「新聞を見れば何年 以降に作られたものかわかる」「 江戸時代の古い帳簿が一冊使われていたりする」 とお話しされていました。私的には、古い地図が気になりましたが、今回は下貼りの調査までは時間的にできませんでした。

今後この書き割りをどうするかべきかを諸先生方にご意見伺ったところ、 「市で 管理するといったものではない」とのこと。また「劣化が激しく虫などもついて いるし、長持もだいぶガタが来ているので保存は難しいのでは」とのこと。資料 として写真を撮ってまとめておくことを勧められました。 状態のいいものだけでも保存できないかと尋ねると、刷毛などできれいにした 後ビニールで包み防虫剤を入れるといい、と教えてもらいました。その際、少し 空気の通り道を作っておかないと、湿気でビニールが絵に張り付いてしまうと のことでした。